特集 思春期医療に向き合う~苦手意識からの脱却
総論
思春期の特性と必要な配慮 思春期診療の現状と思春期健診―思春期健診マニュアル,ヘルスプロモーション
永光 信一郎
1
NAGAMITSU Shinichiro
1
1福岡大学医学部小児科
pp.1318-1323
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001825
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
思春期は医療機関に受診する機会が少ない世代である。成育過程における国民1人当たりの医療費を振り返ったとき,思春期(15~19歳)には起立性調節障害,不登校,鉄欠乏性貧血,摂食障害などの疾病が医療提供の対象となるが,この時期の1人当たりの平均医療費は8.7万円と全世代でもっとも低い[令和2(2020)年度国民医療費の概況]1)。乳児期には約21万円,高齢者には100万円前後が使用されている(図1)。そのなかで小児期のDALY(障害調整生命年)に関する調査(五十嵐班,2018)では,メンタルヘルス疾患が思春期医療の大きな負担を占めていた2)。思春期=メンタルという図式が,身体的疾患に向き合ってきた小児科医にとって,思春期医療に向き合ううえで苦手意識の源かもしれない。しかし,これからの小児科医の役割として,思春期の「病気の子どもを診る」ことと,「健康な子どもを診る」ことの両方が求められている。いわゆるハイリスクアプローチと,ポピュレーションアプローチの両方から思春期の子どもを診ていくことである。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.