特集 NPOが住民参加を超えるとき
NPOと地域保健活動—その親密な関係
前田 秀雄
1
1東京都渋谷区保健所
pp.544-546
発行日 1999年7月10日
Published Date 1999/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902003
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祝!NPO法成立
1998年11月1日,種々の論議はあったものの,臨時国会においてこの種の法案としては異例の早さで特定非営利活動促進法(NPO法)が成立した。同法は,ボランティア団体や市民団体に簡易な方法により法人格を付与するもので,住民主体で組織する団体活動が社会的な勢力として認知されたことを意味する1)。
介護保険導入,政権与党間の思惑,民間団体側の法人格取得への切望感など,さまざまな要素が交錯しての論議が尽くされぬ中での取りあえずの内容での成立ではあるものの,大局的に見れば,ようやく市民活動を日本社会における第3極の権力として,行政的に認知する状況が得られたと見なしていい2)。米国では,既に1980年代にこうした市民の自主活動のネットワークがアメリカ社会を変革する新しい力となりつつあることが広く認知され,多くの自主活動が積極的に展開された3)。保健医療分野においても,セルフ・ヘルプ・グループとしての患者自助・相互支援活動が患者の社会的健康度のみならず,身体的,精神的健康度の改善に寄与することが指摘され,組織的な活動が展開されている。またそれに向けた行政府,企業,財団などからの公的,社会的支援も活発に行われている。
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