映画の時間
—孤独な魂が寄り添う——親密なる最期のとき—或る終焉
桜山 豊夫
pp.453
発行日 2016年6月15日
Published Date 2016/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208454
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公衆衛生の向上,治療技術の進歩などもあって,平均寿命は飛躍的に伸びました.その影響もあり,わが国をはじめとする多くの先進諸国では人口の高齢化の問題に直面しています.治療技術の進歩は,また終末期医療の様相を複雑にもしています.今月ご紹介する『或る終焉』はその終末期医療,なかでも看護の問題に踏み込んだ意欲作です.
映画は冒頭から異質な雰囲気を漂わせます.住宅地に停まるクルマ.木々の梢が風にかすかに揺れていますが,まるで静止画を観ている感覚に襲われます.音楽もはいらず,フィルムが停止しているのではないかと思っていると,ようやく,若い女性がクルマに乗り込んで映画が始まります.
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