特集 公衆衛生におけるNPOの役割
NPOと公衆衛生活動
櫃本 真聿
1
1愛媛大学医学部付属病院医療福祉支援センター
pp.807-811
発行日 2002年11月15日
Published Date 2002/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902847
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はじめに
サッカーのワールドカップが韓国と日本で同時開催されたことはまだ記憶に新しい.元ラガーの筆者にとっては,サッカーの派手さやわざとらしいアピールには抵抗があったが,さすがに今大会は盛り上がった.決勝トーナメントへは誰もが無理だろうと思っていただけに,予選リーグ1位通過といううれしい期待はずれで,みんなの気持ちが“日本頑張れ”へと強く向いて行った.みんなが同じ方向を見て一体となっていることの素晴しさを,ワールドカップは実感させてくれた.
ところで,自分の身の回りの地域や職場,家庭ではどうだろうか.例えば職場会議において,目的についての共通認識が得られずどの方向か確認のないまま,上司の命令,要綱,慣例などに基づき,「どうするか」の方法についての調整が大部分を占め,役割分担が決まれば「連携ができた」と誤解しているような状況ではないだろうか.あるいは各事業のねらいについて住民との共通認識が得られないまま,マンネリ化に陥ってはいないだろうか.目的が一致していることが互いに理解できていれば,方法はもっと豊富になり,効果的に活用できるはずだが,マニュアル等による方法の一律化では,多少の底上げはできてもすぐに限界が訪れる.目的意識もなく「やらされている」感覚が強ければ,チームワークも図れず,各人の工夫や努力も期待できない.
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