特集 痴呆性老人対策を見直す—ぼけても安心できる地域づくりのために
痴呆患者の介護者に対するピア・カウンセリング
藤本 直規
1
,
吉田 摩喜子
2
,
祖父江 文子
3
,
嶋崎 婦美子
2
,
橋本 照子
2
,
井狩 泰子
2
,
橋本 文男
3
,
橋本 俊明
1
1滋賀県立成人病センター
2滋賀県立成人病センター第3内科家族会
3八日市健康福祉センター
pp.928-933
発行日 1998年10月10日
Published Date 1998/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901873
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
高齢化社会を迎えて急増している痴呆患者などの要介護老人対策として2000年から導入される介護保険制度では,痴呆患者の生活介助,問題行動への対応,機能訓練,医療行為などに要する介護時間の合計とかかりつけ医師の意見書を参考に決められる要介護度のランクに応じて,ホームヘルパー,デイサービス,ショートステイ,訪問看護,グループホームなどの保険給付が予定されている。これらのサービスは,基本的に痴呆患者の重症度に応じて供給量が増えていくため,痴呆患者の介護者を悩ませる「俳徊への対応や尿便失禁の後始末に時間をとられる」といった量的な介護負担1,2)を軽減させることが期待される。ところが,痴呆患者の介護者にはこれら量的な介護負担を軽減すること以外に,「物盗られ妄想の犯人にされたことを許せない」とか,「介護を放棄するようで福祉サービスの利用に踏み切れない」といった心理的な問題に対する援助も必要となってくる。
本稿では介護者に対して専門職が行うカウンセリングと同様ないしはそれ以上に重要と考えられるピア・カウンセリング(ピア=仲間)について考えてみたい。
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.