特集 思春期の健康—現代の抱える心の問題
足利市におけるピア・カウンセリングの実践
嶋田 一美
1
1足利市保健センター
pp.470-474
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901790
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要約
足利市では,今年4回目のピア・カウンセリングが実施された。保健所,市保健センター,高校の養護教諭との連携を取りながら,「地域」や「学校」というそれぞれの枠から一歩踏み出して,新しい思春期保健のネットワークづくりに取り組んでいる。
今まで教育・指導を実施してきた保健婦の体験から,一方的な教育では何の効果も得られないことははっきりしてきた。大人や体制に抵抗する思春期だからこそ,ピア・カウンセリングという仲間同士の教育・相談は,いっそう効果的であると思われる。また,アンケート結果からみても「セックスについての自分の考えが変わった」と回答した生徒が58%,「少し変わった」も含めると82%と高率を示し,「講座が今後役に立つと思うか」と言う問いに対しても,「役に立つ」97%。「参加していない人に対して伝えていきたいと思うか」の問いには「機会があれば」も含め97%もの生徒が「伝えたい」と熱い想いを語っている。
これらの結果を踏まえ,今後また新たなピア・カウンセリングを計画中である。性の自己受容ができ,豊かな自尊感情が育てば自分自身の自立と,相手の尊重も含めた共生が成立しうると思う。
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