特集 痴呆性老人対策を見直す—ぼけても安心できる地域づくりのために
グループホームのあり方
林崎 光弘
1
1社会福祉法人函館光智会函館あいの里
pp.934-940
発行日 1998年10月10日
Published Date 1998/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901874
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
要約
近年,日本における高齢化に伴い,急増している痴呆性老人のケアの切り札として注目されている「痴呆性老人グループホームのあり方」についてを考える。痴呆性老人グループホームを全国に先駆け7年前から開設し,現在右肩上がりの建設ラッシュの状況の中で全国のグループホームの誕生のきっかけとなっている「函館あいの里」について,そのあいの里における実践から,グループホームについての基本的理念からケア手法に至ることまで簡略に説明し,今までとは違う新しい痴呆性老人のケアについての理念を述べてゆく。そのことを裏づけるグループホーム職員の資質や養成問題にも言及し,痴呆性老人ケアにとって,何が必要で何が不必要かということを今までのケアとの比較の中から考察する。最後に7年間実践され,実績が評価されたグループホームケアの効果について,厚生省(全国社会福祉協議会委託)調査研究モデル施設としての調査研究結果からそれを明らかにしてゆく。痴呆性老人にとって求められる「ついの住処」とは何かを考えてゆきたい。
急増するグループホームの中で,ただ流行を追ったものではなく,真意に痴呆性老人の住処とは何かということを考察してゆきたい。未だに大型施設全盛の中で,ヨーロッパで成功を収めている小規模(グループホーム)施設を日本に取り入れた一福祉実践者として考察を進めたいと思う。
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.