連載 感染症 Up to Date・34
[エイズの現場でしばしば使われる言葉]HIV抗体検査前カウンセリング(その1)
林 素子
pp.600-601
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901814
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はじめに
HIV感染/AIDSの問題が起こり始めて以来,AIDSは死に結びつく大変な病気であるうえ,感染経路によっては家族などからも援助を受けにくかったためにカウンセリングが注目されてきた。さらに,これまでの医療現場とは異なる側面として,検査時にもカウンセリングが必要であると言われている。ここで注意しなければならないのが,「インフォームド・コンセント」との混同である。インフォームド・コンセントについては本誌5月,6月号の拙稿を参照いただければと思う。
ところで,HIV抗体検査前カウンセリングとは,いったい何だろうか? 保健所職員を対象としたAIDS研修に呼ばれたときのことである,告知についての討議の中で,どのようにクライアント(相談者)に感染の事実を伝えるかについての議論がなされた。もちろん陽性告知は莫大なエネルギーを必要とする大変な仕事である。しかし,筆者には,なぜこんなにも参加者たちが告知について悩み,苦労しているのか理解できなかった。そこで,討論に耳を傾けているうちに何かが欠けているということに気づいた。そこで,「みなさんの保健所で,抗体検査前のカウンセリングを行っている方は挙手してください」と唐突に尋ねてみた。参加者の1/4の手が挙がった。
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