連載 衛生行政キーワード・95
HIV/エイズ対策
西嶋 康浩
1
1厚生労働省健康局疾病対策課
pp.432-434
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103038
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HIV感染症を取り巻く状況
1981年に,今でいう「後天性免疫不全症候群(acquired immune deficiency syndrome;AIDS)」が新しい後天性の細胞性免疫不全症として報告され,1983年にその原因がヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus;HIV)であることが突き止められた.それ以降,交通手段の発達や人的交流の活発化により瞬く間に世界中に伝播され,これまでに世界で約7,000万人が感染し,そのうち約半数がすでに亡くなり,現在,約3,500万人がHIV感染症/AIDSを持ちながら生活している.
わが国では,いわゆる感染症法に基づき作成された「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」により,予防と医療に係る総合的な施策を患者の人権に配慮しつつ推進してきた.わが国のHIV感染症/AIDSの動向をみると,平成25(2013)年については,新規HIV感染者1,077件,エイズ患者469件,合計で1,546件となっており,近年では1,500件前後の報告が続いている(図1).患者・感染者の累積報告数は約23,000件を突破するとともに,地域的,年齢的な広がりもみせ,依然として予断を許さない状況にある.
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