研究
在宅ケアにおける連携の構造とその促進課題—某地方都市の「在宅ケアシステム構築事業」から
福島 道子
1
1国際医療福祉大学保健学部看護学科
pp.485-491
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901792
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要約
北関東某地方都市において,平成7,8年度に行われた「某市在宅ケアシステム構築事業」で得られたデータをもとに,在宅ケアにおけるケア提供者にとっての「連携」の構造化と,連携を図る際の課題について考察した。
対象は,某市において在宅ケアに関わっている公的機関に所属する者46人と私的機関に所属する者22人。方法は,在宅ケアシステムの現状と意見を調査内容とする記述式調査票を用い,さらにこの調査結果に基づいて,今後の在宅ケアシステムへの提言を導く討議を行い,討議記録を作成した。以上の調査票と討議記録を本研究のデータとし,「連携とは何か」の視点から連携に関する記述を抽出し,これを分析単位として類型化しネーミングして連携の構造図を作成していった。
在宅ケアにおけるケア提供者間の「連携」の構造は,福祉コミュニティの形成をめざすチームアプローチに墓つく個別ケアの集積週程であると考えられた。チームアプローチの促進要因は,①ケア記録を整備するなどチームアプローチの前提,②ケアマネジメントを共有するなどケア基盤の共有,③達成感が得られる事例検討,④ケアチームの機能化,⑤主体的アプローチ,⑥個々の力量形成,であると考えられた。連携の促進要因は「連携の目的を明確にするなどフィロソフィー」「なわばり意識の撤廃などヒューマンウェア」「人材発掘などソフトウェア」「網織機構などハードウェアの整備」の4つの領域があり,これらは相互に影響していると考えられた。
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