研究
在宅ケアにおける対象者の生活把握の方法としての見取り図採取の効果
浦橋 久美子
1
,
鈴木 晃
2
1社会保険船橋中央病院看護学校保健学科設置準備室
2国立公衆衛生院建築衛生学部
pp.492-499
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901793
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要約
本研究の目的は,在宅ケアの対象者の生活把握の方法として,見取り図活用の効果を明らかにすることである。
訪問指導および訪問看護に従事している1保健所・3市の21人の保健婦に,見取り図採取とその後の事例アセスメント,ケアプランの検討を依頼し,見取り図採取過程が対象者の生活把握,ケアプランの検討にどのように影響したか分析した。
その結果,見取り図採取週程では観察力が高まり,普段何気なく見ているモノを意味あるモノとしてとらえることにより,事例の生活像が具体的にされた。
生活の各側面では,まず行動の広がりが動線からアセスメントされ,また生理的側面ではモノや構造からADLが,居室の位置から療養環境が,モノの整理のざれ方から安全性がアセスメントされた。家族関係の側面では,居室の位置関係やモノから人間関係や家の風習が,構造から介護負担がアセスメントされた。文化的側面ではモノから趣味や心的支えが,モノの整理のされ方から生活意欲がアセスメントされた。社会的側面では構造やモノから外出の容易性が,接客空間から社会交流がアセスメントされた。
見取り図を生活アセスメントに加えたことによるケアプランへの影響については,必要なサービスの提供を見極めるだけでなく,サービスの提供の仕方を検討する手段となる可能性が示唆された。
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