昨日の患者
持つべきは信頼し合える友
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.136
発行日 2009年1月20日
Published Date 2009/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102455
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社会の縮図である病院における人間模様は時代とともに変遷する.特に手術や最期のときに付き添う関係者は少子高齢化や結婚率低下などに伴って急速に変わりつつある.
Nさんは60歳代前半で,かつてはともに働いたこともある有能で優しい元看護師であった.生涯独身を貫き,退職後は待望の自由時間を気ままに使い,忙しく動き回っていた.下血が生じたが,痔からの出血と思って検査を控えていた.しかし,下血が続くため精査を行うと,直腸癌であった.そこで直腸前方切除術を行ったが,癌はすでに周囲リンパ節にも転移していた.術後の癌化学療法にもかかわらず多発性肝転移が生じた.そして,全身倦怠と食欲不振を訴えて再入院した.
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