特集 保健婦活動研究論文集
軽度肝機能異常者へのアプローチ—アルコールパッチテスト活用の試み
小倉 千恵子
1
,
小林 カツ
2
,
長坂 美智子
2
,
鈴木 貞夫
3
,
佐々木 隆一郎
3
1名古屋市昭和保健所
2名古屋市教育委員会
3愛知医科大学公衆衛生学
pp.219-221
発行日 1997年3月10日
Published Date 1997/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901537
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●要約
平成元年度に行われた労働安全衛生法の改正により,健康診断の充実が図られ肝機能の血液検査も盛り込まれた。この肝機能検査の軽度異常の職員の割合が多いことから,その対策が求められている。
肝機能異常の原因としては,一部肝炎ウイルスの感染も含まれてはいるが,多くはアルコール多飲によるものである。このことから,肝機能検査値の異常に高い職員には医療機関の治療の対象として受診をすすめているが,それ以外の軽度の肝機能障害のある職員の場合,適正飲酒などによりある程度の肝臓病予防が可能と考えられる。
一方,アルコールが飲めるか飲めないかはアセトアルデヒド脱水酵素(ALDH)の活性の高低により,その体質を規定することからアルコールパッチテストでその体質をあらかじめ知ることが可能である。
現在,職域でのこのような軽度の肝機能異常を改善する方法は具体的にすすんでいない。
今回,アルコールパッチテストがこれらの対象者にどのような効果をあげることができるかを検討した。
その結果,アルコールパッチテスト陽性者は陰性者に比べ飲酒行動を少なくし肝機能検査値を正常化する傾向が強いことが判った。今後このアルコールパッチテストを用い,それぞれの対象者に具体的な指導ができないか検討していきたい。
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