特集 保健婦活動研究論文集
ハンディキャップを持つ子どもの療育システムづくり—親の会活動調査から保健婦の役割を考える
岡 澄子
1
,
野地 有子
2
,
塚原 洋子
2
1東京医科歯科大学大学院
2聖路加看護大学
pp.192-197
発行日 1997年3月10日
Published Date 1997/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901533
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
●要約
本研究では,ハンディキャップを持つ子どもの療育システムづくりにおける,親の会の役割,機能,現在の問題点を明確にし,親の会のニーズの中から,今後の保健婦の役割を検討することを目的とした。対象は,日本児童家庭文化協会が支援している団体のうちの8団体,すなわち,全国心臓病の子どもを守る会,(財)がんの子どもを守る会,胆道閉鎖症の子どもを守る会,全国二分脊椎症児(者)を守る会,先天性四肢障害児父母の会,ポプラの会,SSPE青空の会,TSつばさの会とし,代表者に質問紙を用いた半構成面接法を行った。
その結果,親の会の役割,機能は,①親の心の支え(会員のみに限らず),②情報の提供,③社会活動であり,親の会は,重要な社会資源であることがわかった。しかし難病の親の会は,病気ごとに設立されており,会員数や活動状況は多様で,役員不足や財政困難などにより活動に限界のあることがわかった。そこで,セルフヘルプグループのサポートセンターであるクリアリングハウスの①情報の整理編集,②情報提供と送致,③技術的援助,④技能開発,⑤地域教育,⑥調査研究の6つの機能に基づき療育システムにおける保健婦の役割を,(1)親の会の活性化,(2)地域における療育システムづくりの2点から考察を行った。保健婦は,ノーマライゼーションの視点で,①地域の療育システムづくり,②親の会のサポート,③個別相談対応技術の向上のための努力が必要であると考える。
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.