特集 保健婦活動研究論文集
痴呆性老人の介護困難に関わる意識的要因
鶴飼 綾子
1,2
,
高木 由紀子
2
,
押川 幸子
2
,
鎌倉 孝枝
2
,
上妻 明美
2
,
古賀 千代子
2
,
篠原 真理子
2
,
松鵜 甲枝
3
1現,健和会大手町病院
2聖マリア学院短期大学専攻科地域看護学
3聖マリア学院短期大学専攻科
pp.198-202
発行日 1997年3月10日
Published Date 1997/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901534
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●要約
痴呆性老人の介護困難に関わる要因について人々の意識を調査した。対象は30〜50歳の製造職などに従事する男女300人で,有効回答率88%(242人)。自記式調査票による断面調査を行った。
調査内容は,①日本の家長制度・家族観,②社会資源の利用に対する抵抗感,痴呆性老人に対する,③関心度,④偏見・差別,⑤介護に対する困難なイメージ,⑥知識度の6項目と属性の各側面から検討し,以下の結果を得た。
1)関心度は,女性・50歳代・介護経験あり・共働きあり群が有意に高い。知識度は,年代が下かるほど有意に高くなり,介護に対する困難なイメージは,年代が上がるほど有意に高い。社会資源の利用に対する抵抗は,男性の方が有意に高い。
2)社会資源の利用に対する抵抗は,家族観や偏見が高いほど有意に高い。
3)痴呆性老人の介護に対する困難なイメージは,偏見や関心度が高いほど有意に高い。以上のことより,痴呆性老人に対する偏見は,社会資源の利用を妨げ,痴呆性老人に対する介護の困難なイメージを増幅させる原因となる可能性が示唆された。
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