Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
障害者プロレスを描いて賛否が分かれる「無敵のハンディキャップ」
二木 立
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.1077
発行日 1994年12月10日
Published Date 1994/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107757
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「障害者プロレス」をご存知だろうか?これは,「ドッグレッグス」という団体に結集する脳性まひ等の身体障害者7人と障害者ボランティア(健常者)8人が展開する殴る蹴るのデスマッチ「異種格闘技戦」.1991年から,東京を中心に,小劇場,養護学校体育館大学祭を足場にして,興業を続けている.
この障害者プロレスには,賛否両論がある.芥川賞作家の大岡玲氏が「無自覚におごった健常者に対し,怒りを爆発させ,誇りを取り戻そうとする場があってもいい.……彼らの真剣さにすがすがしい興奮を覚える」と理解を示すのに対して,障害者の親の会の長谷川七郎さんは,「ハンディを売り物にして金をとるのは,情けを請うようなもので,脳性まひを持つ親として痛ましい」と.不愉快な気持ちを隠さない(「朝日新聞」1993年12月2日).毒舌的正論で人気を読んでいる「ゴーマニスト宣言」で,著者の小林よしのり氏は,障害者プロレスのファンであることを宣言している(第1巻第43章「世界最強の障害者は誰だ?」).プロレスの大ファンである氏は,はじめ障害者プロレスと聞いて,反射的に無茶と感じ,止めさせようと出かけたのだが,逆に,その面白さに開眼したのだと言う.
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