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この頃ようやく,ある程度,いわゆる英国系(イングランド,スコットランド),アイルランド系,イタリア系,イスラエル系(ユダヤという名は中国をシナ,日本をジャパンと呼ぶのと同じだから避ける)などの顔だちによる見わけができるようになつた、日本では西洋美人というと「青い眼で金髪」というのがとおり相場だが,これはごく一握りのヨーロッパ系にみられるのみで,大部分のアメリカ人の髪は茶または褐色,瞳の色も日本人と大差のない褐色である。ちなみにわれわれ日本人を表現するには,髪はblackまたはdarkで,瞳はbrown,皮膚はwhiteであつて,けつしてイエローではない。白人の中にも日本人よりdarkなのがいくらもいるからである。最近ボストンへ立ち寄られた某先生(一水会会員)が,フランスでlife drawingをやつた結果,いわゆる金髪娘の多くが,染め物であることを知つた,と語つておられた。
時々親しく口をきく,ある科の医者の奥さんが,私に,「日本は雪が降りますか」と質問されたのに対し,私は次のように答えた(アメリカ人は地図もよく見ないがいる)。「ええ,もちろん降りますよ。日本の北の端と南の端はアメリカと同じくらいなのです。今のような御質問は他の方々も時々なさるのですが,日本人ないしアジア人のことをニグロと白人の中間の人種だと誤解しているためにこういう質問をなさる方がおありのようですのでちよつと補足いたします。昨年のオリンピックの後で「ライフ」誌に,「運動競技と人類学的適性」というアメリカ人の人類学者の書いた文がありました。≪競争心の強い日本人によつて代表される蒙古人種は元来,アジアヨーロッパ大陸の北端に住んでいたので寒さから身を守るため体表面積が小さくなるように手足が短かく,皮下脂肪が均等に分布している。これに反し,黒人は熱帯に住んでいたので,熱の放散がよいように四肢が長く,皮下脂肪が少ない≫と書いています。このように,人類学的には,白人は蒙古人種と黒人の中間に住んでいたと考えられているんですよ」と。
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