特集 保健活動のパラダイム・シフト
[学際からのアプローチ]
情報学—人と人の関係をサポートする情報ネットワーク
伊藤 守
1
1新潟大学人文学部
pp.995-999
発行日 1996年11月25日
Published Date 1996/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901466
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眼に見えない変化
戦後50年が経過し,日本社会は大きく変貌した。わたしたちは,その変化を,肌で感じとることができたように思う。都市への人口集中,農業から重化学工業へ,さらにサービス情報産業へといった産業構造の変化,そのなかで自然や都市の景観も変わり,眼に見えるかたちで,社会の変化を実感できたのである。しかし,現在わたしたちが感じているのは,こうした変化とは異質な,これまでとは違った変化が進行しているのではないか,という漠然とした思いではないだろうか。工場が次々に建設され,道路が整備され,自然が開発されるなど,はっきりと眼に見える変化ではなく,眼には見えないけれども,確実に何かが変化している,そうした類の変化である。
ここでは,情報学ないし社会情報学の立場から,この「眼に見えない変化」をできるだけ明らかにし,何がどう変化しているのかを考えてみたい。そのことは,医療や福祉そして保健の分野で活躍している人々にとっても,大きな意味をもつと考えられるからである。
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