焦点 ソーシャル・サポート・2
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自殺とソーシャル・サポート・ネットワークの関係に関する文献検索
明田 恭子
1
,
久保田 加代子
1
,
古庄 しおり
1
,
和田 素子
1
,
南 裕子
2
1聖路加看護大学大学院精神看護学研究室研究科
2聖路加看護大学
pp.274-283
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200926
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はじめに
人間は誰でも,人生に一度や二度は「いっそ死んでしまいたい」と考えることがあるのではないだろうか。そんな時,人間を生の縁に引き留めてくれるものは何だろうか。我々は,それを親や同胞あるいは子供などの,自分にとって重要な他者の存在ではないだろうかと考える。しかしながら,最近の小・中学生のいじめによる自殺,若者の連鎖的自殺現象は,もはや人が人をつなぎ止めることができないのだろうか,という危機感を我々に与える。一方で「いのちの電話」が自殺企図者の抑止に一役買っているという現実もある。
「どうして人が自殺するのか」については,さまざまな論が展開されているが,デュルケム1)は「自殺に追いやるものは個人やその無意識ではなく,むしろ社会から孤立しているという感じである」と述べており,この「孤立」は自分の社会,家族など所属意識を告げる社会との統合が弱いために起こるとしている。家族や社会との統合が弱いというのは,実質的にはどのようなことをいうのだろうか。大原2),マキュロッチ3),ジィフィンら4)は,自殺はその人にとって重要な他者(親,兄弟,友人,教師,配偶者,子供など)への依存,養護,同一視,信頼できる絆が切れた時に起こると述べている。
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