調査報告
学校教諭と母親の持つHIV/AIDSに関する知識と意識調査結果の考察
石井 英子
1
,
鈴木 貞夫
2
,
佐々木 隆一郎
2
1名古屋市中川保健所
2愛知医科大学公衆衛生学
pp.888-892
発行日 1996年11月10日
Published Date 1996/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901443
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
エイズの危機は今や世界を覆っている。すでにエイズ患者のみられない地域はますます少なくなり,患者数は増加の一途をたどっている1)。日本における1994年12月末現在の厚生省サーベイランス報告数は,HIV感染者が累計3233人,エイズ患者数が累計889人となっている1)。世界に比し,日本では,まだエイズ患者,HIV感染者の数は少ないとはいえ,日本のエイズ対策は,今や重大な転機にさしかかっているといえる。1993年度より厚生省を中心としてエイズの感染爆発防止をめざし,総合的,集中的なエイズ対策を展開するため「エイズ・ストップ作戦」が実施されている。これは知識の啓発普及,医療体制の整備,検査体制の充実,相談・指導体制の充実など包括的な予防策がもられている2)。すなわち,学校やマス・メディアを通じたエイズ情報の提供と教育活動,コンドームの使用を捉すソーシャル・マーケティング,STD治療,安全な血液の供給などの予防策である。
エイズ予防の普及啓発には,対象と目標に応じたシステム化の整備が重要と考えられる3)。普及啓発は,学校,職場,地域社会などに応じた,内容や方法を具体的に展開していく必要があるからである。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.