特集 若者を性感染症から守る
HIV/AIDS治療の現状と課題
立川 夏夫
1
1横浜市立市民病院感染症内科
pp.456-460
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101337
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抗HIV療法は1996年前後に劇的に進歩し,その進歩はHAART(highly active anti-retroviral therapy)という言葉で称された.すなわち,抗HIV療法の量的変化が臨床に質的変革を及ぼしたことを宣言した言葉がHAARTであった.抗HIV療法の進歩は以後も続いており,HAARTは第2の波から第3の波に移行しつつある.HIV医療のすべてがHAARTの影響下にあり,劇的にその姿を変えている.すなわち,「致死的疾患としてのAIDS」から「管理可能な慢性疾患としてのHIV感染症」への変化である.臨床においては,AIDSか非AIDSかの区別は,以前ほど重要な区別ではなくなっている.連続するHIV感染症の濃淡として区別されるだけである.
しかし逆の見方をすると,抗HIV療法以外の進歩はまだ脆弱である.劇的進歩と20年以上の停滞の部分の落差は鮮明である.以下に現状を箇条書きし,以後それを整理したい.
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