特集 精神保健福祉法を生かす活動
ノーマライゼイションへの戦略的な取り組み—トータルメンタルヘルスをめざして
吉川 武彦
1
1国立精神・神経センター武蔵病院
pp.767-772
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901421
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はじめに—活動への戦略を養うために
筆者にとっての太平洋戦争は,敗戦が小学校4年生のときであったし,肉体的・精神的飢餓体験が戦争体験のすべてといっても言い過ぎではない。したがって,国対国や地域対地域の“実戦”における戦略を語ることはできないが,リハビリテーションや精神保健福祉の“実践”における戦略はいくらか語れるのではないかと思う。
戦術もツールによって変わる。ツールが刀だけのときや,それに馬が加わった戦術と,鉄砲と車が組み合わさったとはいえ平面を舞台にしていたときから,飛行機や潜水艦がツールに加わる空中から地下までが舞台になる時代の戦術には,違いがあって当然であろう。コンピュータ社会における戦争は,ツールに質的変化をもたらしたともいえ,戦術はいっそう複雑になり,ますます戦略が重要視されることになった。さまざまなツールの開発を受け,戦術は複雑化し,戦略の善し悪しが結果を左右するようになった。
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