巻頭言
メンタルヘルスと精神医学—医学は健康学の一分野である
吉川 武彦
1
1国立精神・神経センター精神保健研究所
pp.348-349
発行日 1998年4月15日
Published Date 1998/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904520
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人は,病気に陥るとはじめて健康のありがたさに気づくという。では,病気と健康は対概念なのであろうか。これをいくつかのたとえでもって考えてみたいと思う。
その1は,『健康から病気への跳躍』をすると考えてみたい。これは,あたかもお互いに世界の違う岸辺にいて,対岸のほうが気持ちよさそうだという“隣の芝”現象よろしく,まだ橋のかかっていない川を飛び越えてしまうものといえる。もちろん,そこに自己決定が潜む時もあろうが,多くは気づかぬままに飛び越える。“こっちの水は甘いよ”という誘いに乗り,幽冥境を異にしてしまう。
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