調査報告
電話相談における通話開始時刻の臨床的意味—精神保健センターでの経験から
本多 正喜
1
,
根岸 二三代
1
,
城田 陽子
1
,
金子 鈴
1
,
宇部 弘子
1
,
藤間 邦子
1
,
高橋 滋
1
1群馬県精神保健福祉センター
pp.566-571
発行日 1996年7月10日
Published Date 1996/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901388
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●要約
群馬県精神保健福祉センターで関わった電話相談の継続相談事例のなかから2事例をとりあげ,その通話開始時刻の臨床的な意味合いを考察した。
その結果完全な一対一対応とは言えないが,2事例とも,主に午前中に電話がかかってきたときは調子がよく,午後にかかってきたときは調子がよくない,という通話開始時刻とその訴えや状態像とに関連性のあることが示唆された。したがって電話相談における通話開始時刻は,事例によってはその状態像を反映するほどの情報量をもっていることがあると言えるので,電話相談を受けるときは,この点にも注意を払いながら相談に応じることが必要と考えた。
また相談者が当センターで精神科医による医学診断を受けていれば,通話開始時刻とその状態像との医学的関連性がさらに明確化できたと考えられるが,当センターには一度も来所歴のない事例のため,この点については明確化できなかった。これは非対面性という電話相談のもつ限界でもあり,この点については今後の課題としたい。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.