連載 助産婦のための臨床薬理・11
時刻分娩学[4]
柳沼 忞
1
1東京大学医学部付属病院分院産婦人科学
pp.160-165
発行日 1985年2月25日
Published Date 1985/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206598
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時刻分娩学の難しさ
時刻分娩学の内分泌学の話になってから,多少話の内容が難しくなったかもしれない。しかしこれは,いまだ十分に解明されていない学問の分野であるので,やむを得ない。かつて筆者が大学生のころ,哲学の教授がわれわれに向かって,「簡単に話そうとすると嘘をつくことになる」と言われたことを思い出す。嘘をついてしまっては,学問を語ることにはならない。そのために,11,12,と1月号では今までに発表された代表的な研究の諸結果を挙げながら説明することを試みてきた。しかし,説明不足の所や筆者の独断の所もあったかもしれない。不明な点や疑問の部分については,どんなことでも質問をいただきたい。機会があるならば誌上を借りてお答えしたいと考えている。
さて,この時刻分娩学の研究の方法には,大きく分けて二つあると考える。一つは,分娩学に関する時刻生理学,例えば時刻内分泌学を研究して時刻分娩学を解明していくものである。他は,分娩の発来機構に直接肉薄して,分娩にかかわる諸現象の時刻性を解明してしまうものである。
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