連載 野道を行けば・5
無から無へ[その2]
頼富 淳子
1
1(財)杉並区さんあい公社
pp.414-417
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901364
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
待ちかねて
昭和55年2月
3回目の訪問。家の下から部屋を見上げると,計ったように窓が開き,武居さんは段階の途中まで迎えに降りて来て下さいました。コタツに落ち着くと息切れがしています。「大丈夫ですか」と言うと,「何でもないですよ。もう来るか,もう来るかと待っていましたよ」と武居さんはさりげなく話題を変えました。「武居さん,お誕生日おめでとうございます」。たまたま記録を調べていたとき,今日が武居さんの誕生日だということに気づいた私は,嬉しくなって急に訪問することにしたのです。武居さんは顔をクシャクシャにして,黙ったまま私に手を合わせました。
武居さんの後半の人生が語られました。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.