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人と人との関わりの中で,いきいきと暮らすことの大切さ—痴呆予防のための「脳刺激訓練教室」 長野県下條村
八木 保
pp.337-340
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901351
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長寿大国となった日本では,痴呆性老人の問題は深刻だ.なぜなら老人性痴呆は重症化してから介護などの問題が顕在化するのが現状だからで,保健所・市町村それぞれに相談場面で限界を感じ,支援のあり方を模索しているところだろう.そうした中,5年前から老人性痴呆について地域住民の意識を高め,早期に痴呆を発見し予防しようと,健康な人も軽い痴呆のある人も,「脳刺激訓練教室」(以下,教室)に取り組んでいる長野県下條村を訪ねた.
南アルプスと中央アルプスの麓,雄大な自然に囲まれた伊那谷の南端に下條村はある.「昭和55年ごろから,訪問の度に家族から痴呆の相談が増え,さらに老人の俳個がめだつようになった.このままだと介護の人手より痴呆性老人の方が多くなるのではと問題の大きさを痛感した」と村役場保健婦,塩澤千恵さんは語る.それから,村全体として住民と共に痴呆予防ができないものかと思案し,地域ケアをめざして講演会や組織づくりを始めた.
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