特集 これからの実習とは
フィールド実習と保健所・市町村実習の折衷型の紹介—そのねらい,現状,課題について
齋藤 茂子
1
1島根県立総合看護学院
pp.292-297
発行日 1996年4月10日
Published Date 1996/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901344
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はじめに
1986年,WHOは「21世紀の保健医療とマンパワー開発:未来に向けた教育の革新」と題する東京宣言において,コミュニティ・ニーズを志向した教育の重要性を強調している1)。わが国は21世紀において,家庭あるいは地域社会の顕著な変貌そして,かつて経験したことのない高齢社会を迎える。
公衆衛生のパラダイム・チェンジに対応し,保健婦(士)は,コミュニティの変化や動きに敏感に対応し,コミュニティ発展の将来を予測しつつ,コミュニティの保健・医療・福祉のニーズに的確に応える能力を厳しく問われている。多様なライフスタイルと人生史のもとに生活を営んでいる住民を理解すること,複雑化する住民のニーズを丸ごと,多面的に把握することが,住民主体の健康なコミュニティづくり,セルフケアの確立やウェルネス支援をするための基本的な教育目標であり,学生が講義室から出て,地域社会の生活の真っ只中で実習することは多様で,効果的で最大の学びにつながる。
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