特集 公衆衛生の現地訓練
実習評価結果からみた保健所・市町村における臨地実習の意義と課題
白井 英子
1
1天使女子短期大学
pp.558-561
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901933
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
地域看護と公衆衛生看護の概念をめぐって議論されてきたが,最近では地域看護を構成する1領域として公衆衛生看護をとらえる概念が通説となっている.さらに,地域看護の方法技術は個人的アプローチに重点をおいたケアと集団的アプローチに重点をおいた地域ケアに特徴づけられるとする見解もコンセンサスを得ているといえよう.しかし,保健所・市町村の実習指導者の中には,保健婦(士)学生の臨地実習は「保健婦の実習」なのか,「地域看護」または「公衆衛生看護」を学ぶ実習なのかに戸惑いがある.重点の置き方によって実習の目標と内容は異なるが,共通していえることは,地域看護を構成する領域(公衆衛生看護,産業看護,学校看護,訪問看護)における看護の対象となる人々の理解と方法技術および役割・機能を理解することである.
本学では,保健所・市町村における公衆衛生看護活動をとおして地域看護の対象特性および方法技術などを理解する実習方法をとっている.その理由は,地域で生活している多様な健康レベルの人々を理解し,さらに地域看護の方法技術を特徴づけている集団的アプローチに重点をおいた地域ケアを理解するうえで有効であると考えるからである.すなわち,公衆衛生看護領域(保健所・市町村)の実習のほうが「多様な健康レベルにある人々の生活」,「ライフサイクルにおける人々の生活」,「人々の生活共同体としての地域特性」の三つの視点を関連づけた学習ができると考えている.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.