特集 保健所の機能強化を考える
保健所機能強化論
調査研究・モデル事業
[私の考える調査研究・モデル事業]質の高い地域保健サービスを保障するために
阿彦 忠之
1
1山形県酒田保健所
pp.1040-1042
発行日 1995年12月25日
Published Date 1995/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901278
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はじめに
公衆衛生に関する「調査研究」が保健所の重要な機能として法的に明確化されたことは,非常に画期的なことである。保健所は,これまでも調査研究の実施数でみると,法的あるいは予算的な基盤がない中でよく健闘してきたと思う。日本公衆衛生学会総会や各地区関連学会の抄録をみても,保健所からの発表は決して少なくない。しかし,研究の成果を学会で発表することがあってもそれっきりで,学術雑誌や機関誌などに投稿・掲載される論文が少ないために,保健所が研究をしているという一般認識はないに等しい。その中身をみても,報告書をまとめることが目的化した調査や,内容が問題分析に偏った研究が多かったように思う。
ここでは,京都府の事例を参考にして保健所における先駆的モデル的な調査研究のあり方を提案するとともに,調査研究を推進するうえでの保健婦の役割について考えてみたい。なお,市町村との関係については,都道府県設置の保健所を想定して述べることをお許し願いたい。
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