特別記事
質の高い保健事業外部委託に向けたガイドの作成―保健事業外部委託マネジメントのチェックリストを中心に
鳩野 洋子
1
,
永田 昌子
2
,
曽根 智史
3
,
前野 有佳里
1
,
森 晃爾
2
1九州大学大学院医学研究院保健学部門
2産業医科大学
3国立保健医療科学院
pp.860-865
発行日 2016年10月10日
Published Date 2016/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200545
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はじめに
2006年(平成18年)に一部改正された行政改革大綱1)の中では,民間能力の活用が示され,行政が行う事項の範囲そのものの見直しが進められている状況にあります。そしてそれは保健師が関わる保健活動においても例外ではありません。具体的には,保健事業の外部委託(以下,委託)があります。市町村の保健事業においては,以前から職員では対応困難な部分を補う目的で乳幼児の健診等をはじめとして,委託の手法が活用されてきていますが2),本誌70巻8号でも示しているように,委託されている事業の割合は増加する傾向にあることが明らかとなっています3)。
補助金事業とは異なり,委託事業の場合,あくまでも提供の最終責任は行政にあるため,委託事業で何か問題が生じたら行政が責任を取ることになりますが,保健師のその責任に対する認識や関わりの不十分さが指摘されている状況も見られます4,5)。
行政の大きな方向性を考慮すると,現実的に委託が避けられない場面が生じることも想定され,その際に保健師の委託への関わりが不十分な状況は,住民に対するサービス提供の観点から望ましくないと考えられます。そこで,委託に関わったことのない保健師が保健事業の委託を検討する際に手にとっていただけるようなガイド(「地方自治体における保健事業の外部委託実践ガイド」)を作成しました。
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