視点
地域保健法と調査研究
氏平 高敏
1
1岐阜県飛騨保健所
pp.702-703
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208732
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
2016年秋の全国保健所長会の懇親会の挨拶で,ある方から,最近,保健所の調査研究が少なくなってきているというお話がありました.地域保健法で保健所は“地域住民の健康の保持および増進を図るため,所管区域に関わるる地域保健に関する調査および研究を行うこと”とされており,調査研究は保健所の業務であるとしています.また「地域保健対策の推進に関する基本指針」(以下,基本指針)では2000年の基本指針の改定で,“都道府県及び市町村は,地域における健康問題について,住民の健康を阻害する要因を科学的に明らかにするとともに,疫学的な手法等を用いて地域保健対策の評価等の調査研究を行うことにより,科学的根拠に基づく地域保健の企画及びその実施に努める必要がある”としています.基本指針にあるように,調査研究を行うことは住民の公衆衛生の向上のために重要であると思います.
調査研究の状況を,保健所の調査研究の件数が公表されている「地域保健・健康増進事業報告(地域保健編)」で見てみました(図1).保健所の調査研究数は2001年では3,678件でしたが,徐々に減少し,2015年には約半分の1,888件になっていました.また,別の保健所の研究の状況として,日本公衆衛生学会総会の抄録集から保健所関係者の発表した件数を見てみました.2001年は309件でしたが,2015年は176件と約4割減少していました.また,総会の全演題数に対する保健所関係者の割合は20%から10%に減少していました(図1).やはり,保健所の調査研究数は減少していました.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.