研究
住宅改造による要介護者および介護者への効果—第1報:要介護者のADL・日常生活の変化と専門職の役割
後東 智子
1
,
中澤 千恵子
2
,
島内 節
3
,
石井 享子
3
,
深野木 智子
3
,
瀬川 ヒロ子
4
,
鶴岡 恵子
4
,
飯塚 早苗
4
1前,東京医科歯科大学医学部附属病院
2東京医科歯科大学大学院
3東京医科歯科大学医学部保健衛生学科
4東京都江戸川区健康部管理課訪問サービス係
pp.1098-1104
発行日 1994年12月10日
Published Date 1994/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901062
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はじめに
平成2年度にスタートした『高齢者保健福祉推進10力年戦略』によって,高齢者の在宅福祉事業は強力な推進が図られている1)。それに伴い,人々の生活形態は施設収容型から地域生活型へと転換されつつあり,在宅療養者の数は今後さらに増加することが予想される。ところが,生活の基盤となる住環境に問題があると,在宅療養を継続することが困難になったり,ADLを低下させたりする。住宅構造は,老人の日常生活動作能力似下,ADL)を低下させる要因,あるいは介護を阻む要因の1つとなり得る。
特に,日本の建築では玄関の段差,引き違い戸の敷居,和式便器,狭くて深い浴槽,狭いドアや廊下などが老人のADLに大きな影響を及ぼすことがある。老人本人が在宅ケアを希望し,家族が協力的であったとしても,住宅構造が不備であるために日常生活行動が不可能となったり,残存機能を十分生かせずに廃用症候群を引き起こして急速にADLが低下してしまうことがある2-4)。
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