研究
保健事業に参加する独居老人の特性—「健康と暮らしの講座」参加者と非参加者の比較
舟橋 睦美
1,4
,
山路 雅代
2,4
,
古谷野 亘
3
1心の健康クリニック
2大阪府和泉保健所
3東京都老人総合研究所社会学部門
4前,大阪府富田林保健所河内長野支所
pp.1106-1110
発行日 1994年12月10日
Published Date 1994/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901063
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はじめに
独り暮らしの老人(以下,独居老人)は,従来,寝たきりや痴呆の老人とともに要援護老人とみなされ,また現在でも“慰問”すべき対象とされることがある。それに対して『老人保健福祉計画策定の骨子について』(1991年)は,「独り暮らし老人であることをもって直ちに要援護老人ととらえる必要はないこと」と述べて,老年期の独居が政策的な対処を必要とする要援護状態ではないことを明示している。
成人にとって独りで暮らすことは,家族と暮らすことと同じく,自分のライフスタイルに関する選択の結果であるから,老年期の人々についてのみ,それを要援護状態ととらえるのは不適切な差別的取り扱いであったかもしれない。しかしながら同時に老年期の独居には,急病や事故の際の対処が困難であったり,犯罪の被害を受けやすいなど,日常生活上のリスクが高いことも動かし難い事実であり,また適切な保健行動を維持し難いこともよく知られているところである1)。それゆえ独居老人は,独居ゆえにただちに要援護ではないにしても,予防的な介入を必要とする“ハイリスク群”であることは明らかである。
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