特別記事
アメリカ合衆国HIV・AIDS看護研修レポート[4]—ホスピスとターミナルケア
石原 美和
1,2
1東京大学医科学研究所感染免疫内科
2エイズ予防財団
pp.1092-1097
発行日 1994年12月10日
Published Date 1994/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901061
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はや,連載も4回目になりました。現在,私は,東大医科学研究所で約100名のHIV/AIDS患者のメディカルカウンセリングをしています。このシリーズでは,1993年3月から4か月間,HIV/AIDS看護研修で米国西海岸に滞在したときの報告をしています。今回はホスピスについてお話しします。
私のところには,3か月に一度,シアトルの公衆衛生局から,HIV/AIDS疫学レポートが届きます。この3か月に新しくエイズを発症した人は135人で,亡くなった人は107人でした。シアトルで,今までにエイズで亡くなった人は2229人。現在エイズを発症している人は,1539人います(シアトルの人口は58万人)。このような状況でも,シアトルは,米国内でエイズの猛威を避けることができた都市の1つです。その理由は,シアトルではサンフランシスコなどに比べ,流行が遅れたことと,医療財政が豊かなため予防活動から今回紹介するホスピスまで,医療費の助成システムが早く準備できたのです。私はサンフランシスコでも研修しましたが,患者数が比較的少なく,どうにか地域で対応できているシアトルのほうが,わが国の状況と照らし合わせるには都合がよいため,日本人医療者が研修するのに適していると思いました。
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