特集 オプトジェネティクスを用いた神経機能操作の現在地:光で行動をコントロールする
グリア機能の光制御から見えてきた脳科学研究の新しい地平
松井 広
1
1東北大学 大学院医学系研究科脳神経科学コアセンター新医学領域創生分野
キーワード:
光刺激
,
神経膠
,
星状細胞
,
脳虚血
,
トランスジェニックマウス
,
神経伝達物質と神経伝達物質作用剤
,
光遺伝学
,
Channelrhodopsin 2
Keyword:
Astrocytes
,
Brain Ischemia
,
Neuroglia
,
Mice, Transgenic
,
Photic Stimulation
,
Neurotransmitter Agents
,
Optogenetics
,
Channelrhodopsin 2, Human
pp.275-280
発行日 2014年2月22日
Published Date 2014/2/22
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グリア細胞の活動は神経細胞と異なり,電極で自在に制御できなかったため,その容積が脳の半分以上を占めるにもかかわらず,その役割を明らかにすることが困難であった.一方,チャネルロドプシン2(ChR2)の脳科学への応用は急速に広がったが,このツールをグリア細胞に適用する動きはほとんど出てこなかった.既成概念に基づけば,グリア細胞を脱分極させても何も起きないはずであったからである.しかしこのたび筆者は,従来は無意味と考えられてきた実験に挑戦した.するとグリアの発する信号が脳機能を左右すること,グリアからの伝達物質放出を支える新しい原理,脳虚血時に発動されるグリアの暴走を制御する仕組みなどが次々と明らかになった.
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