連載 保健婦日記・4
風化させてはいけない私自身の出来事(二)
伊藤 芳子
1
1宮城県大崎保健所
pp.580-581
発行日 1993年7月10日
Published Date 1993/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900726
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入院してわかった病人の気持ち
人が病気になるということは、晴天の霹靂とかいうものではなく、昨日が今日に変わって、今日が明日になるように、すうっと来るものでした。そして、それは時を止めることができないように、病気という事実も避けようもないことなのです。冷静に受け止めなければと思うのですが、かなり混乱していました。日中は平静さを装っても、夜中になると死の恐怖や、残していく子どもたちのことを考えると、突然泣き出してしまったのです。
行き先が見えず、かなり落ち込んでしまいました。しかし、一方ではこんなことでいいのだろうか、今までの自分の仕事は何だったのだろうか。頭の中にたくさんの患者さんたちのことが浮かんできました。
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