連載 保健婦日記・6
国際色豊かなこの町
平間 チヨミ
1,2
1横浜市港北保健所
2前,中保健所
pp.242-243
発行日 1993年3月10日
Published Date 1993/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900666
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フィリピン男性と同棲する女性
地区担当の任期も残り少なくなった頃、寿センター保育園(地区には私立保育園が二か所あり、地区内の子どもが多く通園している保育園)の村田園長から「フィリピン人男性と同居している二〇歳の日本人女性に3歳の男児がいるらしい。子どもは何処へも行かず何時もドヤにこもっているようだ。通園意向があるなら対応を検討するので、母子の健康状態も含めて確認してほしい」と依頼された。しかし、個別フォローに忙殺される毎日で、時間がかなり経ってから婦人相談員と同行訪問を行った。
表はきれいなビルでも一歩入ればドヤである。三畳一間の真中に布団が敷いてあり、彼女は布団を被っていかにも顔をあわせたくない気持ちを表現していた。もちろん掃除は行き届いてなく、子どもは彼女の布団の上でミニカーで遊び、夫のフィリピン人はテレビを観ていた。部屋の中は、衣類や汚れたままのラーメンドンブリで足の踏み場もなかった。
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