特集 老人保健事業第三次計画と老人訪問看護制度
高齢化社会対策と公的責任
星 旦二
1
,
岩永 俊博
1
1国立公衆衛生院
pp.768-772
発行日 1992年9月25日
Published Date 1992/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900574
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はじめに
高齢になるにしたがって,なんらかの病気を持つようになることが多い。しかしながら,「一病息災」の視点にたって,高齢者がいきいきとして生活していこうとしていることも事実である。しかし,なんらかの傷害を持ってはじめて,車椅子にとっては,歩道の段差や道路の電柱が障害となり,階段の手すりの大切さや地下鉄に乗りにくいことに気づき,社会に参加することの難しさを実感する。個人の努力だけで,いきいきとして生活していくことは難しいのが現状である。
昭和53年の「健康づくり」1)において,「自分の健康は自分で守ろう」とのスローガンが示された。このような動向の中で,全国の市町村で,「自分の健康は自分で守ろう」との言葉を意識的に使わない村を,現在のところ2つだけ把握している(把握していないかも知れない)。その1つは,岩手県の沢内村であり,1つは,高知県の西土佐村である。新潟県の大和町では,「自分たちの健康は自分たちの手で守ろう」と,健康づくりを組織的に対処しようとしている。
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