特集 高齢社会と住まい
住環境整備の考え方とその実践—理学療法士の立場から
吉川 和徳
1
1東京都板橋区おとしより保健福祉センター
pp.532-538
発行日 1992年7月10日
Published Date 1992/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900522
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はじめに
在宅療養者に対して訪問指導を展開していく際には,家族関係や,経済的問題,福祉機器や介護負担の問題などのさまざまな「環境」の整備が必要であることは,いうまでもない。そして,この「環境」の中に「住環境」も含まれ,ゆえに我々が住環境整備について考えていくときには,当然その他の環境の問題についても評価し,さらに身体的状況や,心理的問題にも考えを及ばせている。そして,そこから潜在するニーズを発掘し,問題点を見つけ,その解決策をあみだしていく。この解決策の1つが住環境整備であり,介護方法指導であり,日常生活指導なのである。
一方で,近年「住環境整備」「住宅改造」が脚光を浴びており,さまざまな方面からこの問題が検討されているが,手すりの設置,段差の解消,大がかりな改築など,改造そのものや改造案のみが取り沙汰されることが多い反面,そこに至る評価の過程については,多く触れられていないのではないか,と筆者は感じている。
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