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Key Questions
Q1:軽度認知障害のある人の住環境整備で押さえるべき4つのポイントは?
Q2:認知機能を補う整理整頓術や配色・照明の工夫の実際は?
Q3:軽度認知障害のある高齢者の安心やQOLに配慮した支援のポイントは?
はじめに
人は高齢になり,認知機能が低下すると,住み慣れた自宅にいても,日常生活に支障が出て,暮らしの安全・安心が脅かされてしまう.たとえば,①高齢者に認知障害があると,転倒による骨折や外傷のリスクは約2倍になり1,2),転倒骨折後の治療予後にもマイナスの影響を与える3).②家事や排泄等,生活行為の失敗や,火の不始末や徘徊といった事態が起こり得る.③軽度認知障害の人で,たまにしか失敗しないことでも,リスクを案じて,遂行を断念してしまうことで生活の狭小化が早まる等の懸念があるからである.
一方で高齢者の自宅が,認知機能が低下した状態であっても,転倒や失敗が起こりにくい環境であれば,生活の支障の予防をすることや,発生を遅らせることは可能である.
実際に,住環境を整備して在宅生活の継続に成功している事例もあるが,そのノウハウは蓄積・普及していない.また,認知障害のある人の環境整備に関する研究や書籍をみると,施設入所者向けのものや,公共施設用のものが多くを占め,在宅者向けのものは極めて少ない.
加えて現状では,軽度認知障害のある在宅高齢者が急増しており,彼らの在宅生活を支える住環境整備のノウハウの蓄積・普及が急務である.
そこで本稿では,筆者らの自験例や関連する先行研究の知見4〜6)に基づき,軽度認知障害のある高齢者が在宅生活を継続するための住環境整備について概説する.
取り上げるのは,軽度認知障害の事例で押さえるべき4つのポイント,①転倒を予防する,②認知機能を補う,③安心を支える,④早めに備えるであり,おのおのの実践例を紹介する.
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