特集 高齢社会と住まい
在宅療養を支援するための住宅改善を考える—事例検討会における「見取り図」導入の意義
鈴木 晃
1
,
池田 耕一
1
,
大中 忠勝
2
,
阪上 裕子
3
,
小渕 さゆり
4
,
杉山 眞澄
4
,
岡山 和美
4
,
飯降 聖子
4
,
園田 照代
4
,
木村 美貴子
4
,
藤井 智恵美
4
,
高橋 志保
5
,
一瀬 慶子
5
,
北田 亜津子
5
1国立公衆衛生院・建築衛生学部
2国立公衆衛生院・生理衛生学部
3国立公衆衛生院・公衆衛生行政学部
4国立公衆衛生院・平成3年度専攻課程看護コース
5国立公衆衛生院・平成3年度専攻課程保健コース
pp.517-523
発行日 1992年7月10日
Published Date 1992/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900520
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はじめに
近年,日本でも在宅ケアあるいは地域ケアの重要性がいわれるようになった。国の「高齢者保健福祉推進十か年戦略」,いわゆるゴールドプランにおいても,在宅ケアを進めるうえで必要なマンパワーの確保を中心とする計画が打ち出されている。しかしながら,その基盤となる住宅環境の問題にはあまり関心が払われずにきたことが,きわめて日本的な特徴といえるかもしれない。福祉先進国といわれるデンマークからみると,このことは奇異に感じられるようである。デンマークの元福祉相は日本の高齢者対策の現状について,以下のように指摘している。
「大阪でネタキリロージンの家庭を三軒訪ねた。決して貧しい暮らしぶりではない。だが,住まいは狭く,世話する側はデンマークの何倍もの努力が要るように見受けられた。(中略)日本の高齢者政策は,長期的にはまず住宅政策が,また短期的にはホームヘルパー,補助器具,住宅の改造が重要だと思われる1)」
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