特集 休養の科学
労働と休養
一杉 正治
1
Masaharu HITOSUGI
1
1北里大学医学部公衆衛生学
pp.311-314
発行日 1987年5月15日
Published Date 1987/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207464
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■はじめに
疫学の定義の一つに,「疫学とは,疾病の自然史(Natural History)を研究する学問である」というのがある.そして疫学の対象は,個人よりも集団であって,その範囲は,疾病のみならず健康,すなわち疾病でない状態をも含む.
人間の健康状態が,疾病と健康に二分されているとすれば,図1のごとく,人間の健康状態が,疾病と健康の間をゆれ動きながら時が進んでいくのであるが,人間の眼は疾病にのみ注がれがちである.これは,古くから氷山現象と呼ばれ,海面上の氷山にのみ注目し,海面下の状態に注意しないことを表現したものである.疫学は,海面すなわち臨床水平線上の病気だけでなく,その下にある状態,すなわち,いわゆる健康をも含めてあらゆる健康状態にも目を配ろうということである.
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