特集 健康科学
休養と健康
梅澤 勉
1
Tsutomu UMEZAWA
1
1日本大学三島学園短期大学部
pp.26-31
発行日 1987年1月15日
Published Date 1987/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207401
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■これまでの休養,これからの休養
病気から身を守ることが休養の目的であった時代は,疲労の回復=睡眠+休息=休養となる.この方程式は,生活が貧しく,労働時間は長く,筋力に頼る労働が多かった時代に通用してきた.しかし,この方程式がこれからの休養には通用しないということに読者はすでにお気付きのことと思う.これからの休養には多くの意義,目的,内容が含まれてくるからである.
われわれの生活を時間と行動の二つの次元から分けると,睡眠,食事,家事,労働,テレビなどの行動と,それぞれのために消費した時間から生活の実態を分析することができる.また,技術革新の出現による生活の変化から,生活時間のなかで自ら自由に処分できる時間を労働時間と対比させて考えるようになってきた.労働時間が減少し,労働に消費されるエネルギー量も少なくなったことによって,生活時間のなかに占める自由に処分できる時間(以下,自由可処分時間と略す)は量,質ともに増大していくからである.しかも,自由に処分できる所得の増大は,自由可処分時間内の行動を充実させる大きな要因となる.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.