連載 保健婦はおもしろい
“住民の一人であることを忘れずに”
野中 俊子
1
1福岡県宮田保健所
pp.496
発行日 1991年6月10日
Published Date 1991/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900258
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「あのね,聴いて,聴いて!」と家庭訪問から帰った若い保健婦さんは,真剣な顔で同僚に語りかけました。「あの人はなぜあのような態度をとるのかしら?」「なぜ実行しようとしないのかしら?」と次々に疑問の言葉が出てきます。記録をしていた仲間の保健婦もペンを止め会話の中に入っていきました。
「そうなのよ,本当に理解できなくて……」「でもね,その人も何か理由があるのではないかしら?……」とあれこれと保健婦の意見が出されました。このような光景は以前よく見られたものです。しかし最近はずいぶん少なくなりました。老人保健法施行後,特に少なくなったように思いますが,多忙すぎるからだけでしょうか。自分の関わった事例に対する素直な疑問を,同僚の保健婦に投げかけた若い保健婦さんを頼もしいと思いました。
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