特集 住民のセルフ・ケア・クループ活動
私と東京都精神障害回復者クラブ連合会(仮称)活動—自分らしく生きる道筋を求めて
小金沢 正治
1
1東京都精神障害回復者クラブ連合会(仮称)事務局
pp.900-903
発行日 1990年11月10日
Published Date 1990/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900138
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
病気とみとめたくない自分
今から約20年前,私が21歳の時に八王子にあるT精神病院へ半強制的な形で入院させられた。病名は「躁うつ病」となっていた。それから約10年間の間に入退院を4,5回繰り返してしまった。再入院の理由は簡単で,退院して病院から離れると意識的に服薬を自分の意志でやめてしまうからであった。家族も多少心配していたが薬の正しい効果に対する認識も少なく,私に同調してしまうからであった。今から思えば何と愚かなことをしてきたのかとあきれてしまう。その時の自分は,絶対に精神病ではないと信じたかったからに相違ない。
精神病であることを認めるためには,自分自身のなかで葛藤があり,さらに相当な抵抗があった。当時(今でもさほど変わっていないが)世間では精神病といえば治らない恥ずかしい病気であり,他人には知らせたくない病気の1つでもあった。精神病に関する正しい知識もなく,信頼できる医師との出会いもない状況のなかで,自己嫌悪の長い日々が続いた。
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.