特集 精神保健活動の評価
精神障害者の作業所における保健活動の評価—作業所設立までの保健所の協力・連携をとおして
稲葉 恵子
1
1けやき工房
pp.560-565
発行日 1989年7月10日
Published Date 1989/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207772
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はじめに
昭和58年東京都世田谷区玉川保健所に精神障害者社会復帰事業のデイケアが開始された。参加者はデイケアでのいろいろなプログラムをとおして人のかかわり,生活の幅を広げ,次のステップへの足がかりとしてデイケアを活用してきた。また,地域のなかでデイケアは参加者が安心して憩える場として,保健所内で地道に見守られすすめられてきた。
デイケア開始とともに次の受け皿として作業所設立が望まれていたが,なかなか具体化に到らなかった。次第に,デイケア活動が広がり,参加メンバーも増えるなかで,社会参加への具体的な足がかりとして作業所の必要性がさらに高まり,保健所の熱心な援助のもとで家族会が育ち,地域の方々の協力も得られるようになり,ようやく昭和63年4月「けやき工房」という名称で作業所が誕生した。本稿では,この共同作業所設立までの経過のなかで,保健所の役割を考え,地域で保健所保健婦と作業所のスタッフがどう連携しつつ精神障害者の保健活動にかかわって行くことができるか考えてみたいと思う。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.