特集 保健婦の世界を外からみると
〈住民の声〉
夫を介護しながらみえて来たもの
二宮 敏子
pp.1077-1079
発行日 1988年12月10日
Published Date 1988/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207657
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■保健婦とのはじめての出会い
私が保健婦とはじめて出会ったのはいまから9年ほど前,65歳になろうとしていたアルツハイマー病の夫を,自宅で介護しているときのことである。夫が朝方,寝床から起き上がりざまに転倒し,骨折はなかったが1週間ほど動けなくなってしまった。そして,眠っている間にはじめての失禁があった。"このまま寝ついてしまうのだろうか"と私の内心の不安は大きく,仙骨の辺りが赤くなりかけて褥瘡の心配も出て来た。かかりつけの医師へは電車で通っていたが,その半年も前から通院は不可能になっていたし,往診も頼みにくかった。そこで私は保健婦に相談してみようと思った。
市役所に尋ね,市民センター駐在の保健婦と連絡がついて,その2日後にY保健婦の訪問を受けることができた。Y保健婦は病人の様子をみて,寝ついた場の看護の仕方などをいろいろと親切に教えて下さった。その際に,看護法の本も貸して下さり大変参考になった。またこのとき,寝たきり老人制度というものがあることをはじめて教えられた。その申請は,寝たきりの状態が半年以上続いてからでないとできないと聞いて気の遠くなる思いがしたものである。
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