調査・報告
アルコール依存症の社会療法における保健婦の役割・機能(第3報)—アルコール依存症者の子どもの問題
安田 美弥子
1
,
内田 英子
1
,
野川 とも江
1
,
榎本 稔
2
,
藤原 誠二
3
1埼玉県立衛生短期大学
2東京工業大学
3成増厚生病院
pp.351-355
発行日 1988年4月10日
Published Date 1988/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207526
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はじめに
21世紀に残る最大の病いといわれるアルコール依存症は,厚生省の調査によれば医学的治療の必要な患者が220万人以上と推定されている。われわれはアルコール依存症(以下ア症と略す)の社会療法を考えるためにいくつかの調査を実施した1〜3)。はじめにア症者の背景と予後の調査を行い,ア症者像と問題点を明らかにした。次に地域の精神衛生の第一線機関である保健所とそこでの保健婦活動の実態について調査し,多くの困難を感じながらも意欲的にア症者への援助にとりくんでいる姿勢を知ることができた。さらにア症者の社会復帰への援助をきめこまかく実施しているいくつかの保健所の例から,保健婦の役割と機能を考察した。
しかしながらア症は家族全体の病いといわれており,ア症者本人だけでなく,家族全員が病んでおり,治療の対象とすべきであると多くの研究者によって指摘されている。またア症者の子どもはア症者になる可能性が高く,ア症の再生産が懸念されてもいる。
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