研究
アルコール依存症の社会療法における保健婦の役割・機能(1)—活動の実態と期待される役割
安田 美弥子
1
,
野川 とも江
1
,
内田 英子
1
,
榎本 稔
2
,
世良 守行
3
1埼玉県立衛生短期大学
2東京工業大学
3成増厚生病院
pp.852-859
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207061
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I.はじめに
昭和57年に我々は1)アルコール専門病棟を持つ都内のN病院において,入院患者536名の予後調査を実施した。N病院は社会療法として保健所や福祉事務所との連携を積極的に推し進める治療方針を特徴としている。また入院患者は,単身者,低学歴者,生活保護受給者が多い等の特色を有している。調査時点での断酒率は28.7%にすぎず,この調査からアルコール依存症者(以下ア症者と略す)像が明確になり,問題点もまた明らかになった。
特に専門病院入院に至るまで他科への入退院を繰り返し,トラブル発生から入院までに10年以上経ている者が約30%いる。入院経路は保健所や福祉事務所からの紹介が約半数を占め,本人や家族が病院へ直接相談することは少ない。また親の問題飲酒や子供の非行など,本人の生育歴,家族歴に多くの問題がある。
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